赤い糸、絡ませて。 -6ページ目

偽善ってなんだ


社会に出てそう長くはないわたしですが、

そんな社会人生活の中で、一番仕事に追われていた時期。

自分と同じ年代か、少し上かという子達と一緒に働き、

彼らに指示を与えたり管理する立場にいた時のこと。



ある日出勤すると、

同じく出勤していたある男の子に「今、いいですか」と。

二人で話したいんです、と人払いするように頼まれた。


何か仕事に対して悩み事でもあるんだろうかと思い、

二つ返事で了承したところ。

彼が切り出してきたのは、わたしの予想を上回る話だった。



「テツカさんだったら、引かずに聞いてくれるかと思って。

 僕ね、」



彼が口にしたのは、自分はある病気を患っているということだった。


当時、ストレスの温床のような状況だったその職場。

そして何より、その過度のストレスがこの病気を大敵なのだと言う。

わたしにそれを告げることによって、わたしが上に掛け合って、

少しでもその原因が取り除けられれば、と思ったそうだ。


彼の告白を聞いた直後のわたしの返事は、


「あ、そうなの。」


あっさりしすぎか。笑



驚かなかったと言えば嘘。

でも、衝撃を受けなかったのは本当。

だって今となっては世界中に蔓延している病だから。

自分の生活範囲内にそんな人が居ても、ちっとも不思議じゃない。


恥ずかしい話、わたしはこの病気に対して、

予備知識なんてものは皆無に等しくて。

ただ知っていたのは、この病気を患うこと=差別の対象、になり易いこと。


それだけを知っていたからこそ、

平静を装おうとしていたのかも知れないけれど。



それから後、仕事はどんどん慌しくなっていった。

正直わたしは自分のことに手一杯になり、

自分に振られた仕事と職場の全体像を把握することが限界で、

いつの間にか彼の言葉を忘れてしまっていた。


少し経って、彼はその仕事を辞めた。

辞めた理由を又聞きすると、

友達の店を手伝うだとか、一緒に店を出すだとか、そんな感じ。

本当にその通りだったなら、そう悪いことではない。


でも、それって本当?


理由を聞いてすぐ、そう思った。

きっとそう思ったのは、わたしだけだと思う。



今思えば、わたしは彼を特別視しなかった。最後まで。

面接で顔を合わせた時から、研修が始まってから、

病気の話をされてから、そうして辞める当日まで。


距離を取ろうともしなかったし、縮めようともしなかったってこと。


本当にそれで良かったのかなあ、なんて今更思うのです。

いや、九割くらいはそれで良かったと思っているのだけれど。


緊張か、恐れか、話しながらも細かく震えていた彼の姿が印象に残る。

彼は今元気だろうか。



なんて、唐突に思い出したのでした。




褒め言葉


「大人っぽいね。」



って言われると、ちょっと複雑な気持ちになる最近。


仕事だったり紹介だったりで顔を合わせた、

初対面のお相手からよく言われる、わたしを表す言葉のひとつ。

正直なところ、あまり嬉しくない言葉でもあります。


いえ。大人っぽい、と思われること事態には全く抵抗はなくて。

むしろ嬉しいくらいなんだけど、何ともこの言葉が好かない。



大人っぽいって、ぽいってなんだよ。

もう大人なんですけど。


など、少々ひねた考えが浮かんだりだとか。笑



小学生だとか中学生だとか、明らかにこどもだった時には、

そういう風に言われるのは結構嬉しかった。はず。

でも今となっては。


まあ、ハタチ過ぎれば・・・ってことかな。

子供なままの大人も少なくないし、

この言葉もあながち外れてはないのかなとも思う。



さて、最近会った女性達。

同じ世代だろうと思っていた女の子が5歳も年上で、

お若く見えていた上司さんは、わたしより一回り以上も年上だった。


見た目で判断出来る年齢って、結構適当です。




甘え



ここ最近が一番、わたしらしく振舞っていると思う。

そんな風に、近頃よく考える。


恋人の前での自分の姿について。



お付き合い当初の頃は、まだお互いに手探りな状態で、

彼の前では自分の言動・行動に気を遣ったりしていて、

少しばかりおすましさんだったんじゃないかな、と。

猫を被っていたとも言う。


いい子に見られたい、

好きになってもらえるように、

嫌いにならないように・・・と思う他にも、

そもそも「彼とどう接するべきなのか」と、

恋人と過ごす自分のあり方、を探している最中だったとも言える。

そういう根本的な部分がとても未熟だったからでしょう。



とは言え、いつからか被り物を脱ぐように。


彼の人格に対する知識だとか、

ああ言えばこう言う、なパターンだとか、慣れであるとか、

そんな積み重ねを経て、今は当初と比べてずいぶんと変わった。


肩の力を抜いて、ゆるゆると安心出来るような。

今はそんな仲に落ち着いた。と感じる。



だけど少し気になるのが、

それによって彼を困らせる回数が増えていること。


心をオープンにし過ぎているのか、

彼の言動や行動に、時折些細な事で「ん?」と思ったとして、

それを今までのように、心にしまい込む事が出来ずにいる。

その度 むっ と不機嫌になり、彼と口をきかなくなったり、する。


彼からすれば、どうしてわたしが怒っているのかが分からないので

どうにかして機嫌を直してもらおうと四苦八苦。


そんな事が、最近ちょっと多い。

自分でも反省しているけれど。


自分でもどうしてそんな些細な事にイラっとくるのか、

冷静に考えてみるとさっぱり分からないというのが本音。


もうほんと、苛々虫の所為にしても良いでしょうか。笑



きっと「怒っても許してくれる」と分かっているから出来ること。

それか、あれが欲しい、と駄々をこねる子供のようなもの。


訴える相手が優しいほどに、それはどんどん増長していく。


これは少々ひねくれた、甘えの形のようなもんだ。





何のために、



最初、この日起こったとある事件について彼に怒った。


彼の勝手な決断に腹が立ったから。

けれど、その話が収束に向かっていくうち、

彼の『考え方』について憤りを感じずには居られなくなった。


何が起こったのかは詳しくは書かないけれど。

彼が目先の事だけを考えているようにしか思えず、

その視野の狭さにうんざりしてしまったのだ。


「その考え方が嫌だ、」


口火を切った言葉に勢いが付く。


「何のために一緒に住むのだとか、

 何のために結婚式を挙げるのだとか、

 何のために今準備をしているのだとか、

 その意味をもっと考えて。」


「貴方が言ってるのはそれを全部犠牲にするってこと。

 そうまでする価値がそれにはあるの?」


しょげたように、ただ相槌を打って話を聞く彼。


「・・・・でも俺はそれが正しいと思ったんだよ、」


それを聞いて、何だかわたしは

弱い者いじめをしているような錯覚に陥る。

間違った事は言っていないはずなのに、どうにも後味が悪い。



彼はそれが正しいと思った。

それがわたしも望んでいると思ったから。

わたしはそれが正しいと思わなかった。

それは二人のこれからの為にならないと思ったから。


テツカの為にもそうしようと思った、と彼が言う。

その言葉を聞いて、散々彼に対してぶつけた言葉の余韻が苦くなった。



揉め事の余韻がまだ残る中、

さっきまでの沈んだ空気を晴らそうとするように、

思わず顔がほころんでしまうような言葉を、彼が口にした。

「早くお前と一緒に住みたいんだ、」と呟いた言葉が耳に残る。


けれど、嬉しくなるような言葉を耳にしても、

それを素直に受け入れられない自分もいた。


ひたむきに気持ちを注いでくれる彼という存在が、辛くなる時がある。

真っ直ぐな彼の温かさに触れられると、

どうにも惨めな気持ちを感じずには居られない時がある。

歪にひねくれた自分の心や性質が、露呈するようで。



彼を諭したくて言った言葉なのに、

彼を詰るだけの文句になってしまったようで、

どうにも、心の中がどろどろするような揉め事だった。


もうこういうのは、いいや。




そう見える、らしい。


彼から聞いた話。

会社の先輩の子供が、無事産まれたそうで。

おめでたい話なんだけど、奥さんが産後のになってしまったそうで。


女性はホルモンバランスの影響が鬱になる原因になりがちなので、

生理期だとか、産後に鬱になってしまうのはそう珍しいことではない。

でもやっぱり、旦那さんからすれば戸惑うこともたくさんあるだろうと思う。



「大変っすね、」Tさんが話を聞いていると、先輩が。


「けど、話聞いてると○○君の彼女も・・・なりそうやな」と。


ええ、わたしのこと。

彼が先輩にどんな事を話していたのかは知りませんが、

その先輩はわたしに対してそういうイメージを持ったらしい。



それを彼から聞いた時、

「そんなことないよー!」と否定はしなかったし

逆に「そうかもね、」と肯定するように言った。


先輩の言葉は、あながちハズレでもない。


割と気分にムラがあったり、元来の性格もあるし、

生理期には一時的にでも「なってる」時もある。


精神面で自分が一般の人より少々弱いとは自覚しているので、

なるべく大きなストレスやプレッシャーを自分にかけないようにする。

もし避けられずそれを真っ向から被った時でも、

溜め込まずにすぐに吐き出すように。

Tさんと一緒に過ごすようになり、彼と言う癒し手段を見つけてからは

随分と精神面で安定するようになったと思う。



そんなわたし、

今心配しているのは秋の新居への引越。と結婚。


自らを取り巻く環境が目まぐるしく変わってしまうのは、

鬱を発症する大きな要因になるのだそうです。

引越し鬱、と呼ぶらしい。


以前、テレビ番組で見た原因不明の不調に悩む女性の話。

その女性の不調の原因はまさしく「引越し鬱」だったというのを見て、

その時わたしは「あ、これ自分もなりそう」と直感した。

なんとなく直感でそう思っただけで、

それ以来引越しをしていないもので真偽は分かりませんが。笑


「うん。ってか多分なるよ。先輩、正しいね」

「いや、考えすぎやし」

「引越の時はなるだろうから。その時はよろしくw」

「・・・・・・。」 (←苦い表情)


こんな風に言える環境があるなら、まあ大丈夫。


毎月わたしに付き合っていられる彼もいますし、

きっとこの心配も杞憂に終わるでしょう。(・ω・`)ネ。






参考にしたHP:

UTU-NET

うつばんネット