飼い犬 | 赤い糸、絡ませて。

飼い犬


飼い犬と飼い猫、

どちらかになるのを選べと言われたら。



そうだねー、


わたしは飼い猫になりたいな。



猫の方が自由気ままに過ごせそうだから、は

理由には含まれておりません。


大好きな飼い主に撫でて褒めてもらえるなら

お手もお座りもやりましょう。

ご要望なら新聞だって取ってきます。


だったら、

飼い犬の方が向いてるかなと思いがちだけれど

やっぱりわたしは、飼い猫向き。



だって、飼い犬だったら鎖で繋がれるでしょう。


周囲の安全の為だったり

犬自身を守る為だったりだとか

そんな理由もあるのだけれど。


わたしはそんなに気性は荒くないし

脇見して外に飛び出したりもしないし

わざわざ鎖で繋がなくても大丈夫ですよ、と。


そう訴えたって、

どうしても鎖で繋いでおきたい飼い主。



どうしてわたしに鎖をかけるのですか。


だって僕は君の飼い主だから。



そんな主従関係。

そう言われてしまったら、従うしかない。


鎖の長さの弧を描いた世界の中から

外の世界を眺めることは出来る。

けれどそこに自分は参加することも出来ず

ただ傍観者として生きていく。

時々自分の頭を撫でに来る飼い主だけが、自分の世界。



同じように大好きな飼い主の傍に居られて

同じように従順な姿勢で過ごすなら


広い庭で、鎖に繋がれてしまう犬より

狭い部屋でも自由に闊歩していられる猫がいい。



首輪をつけるのは結構。

でも、それに鎖を繋ぐのは嫌だ。