傍観者 | 赤い糸、絡ませて。

傍観者


アメンバーの表記に思わず ぷっ ときたテツカです。

特撮モノの名前みたいだな・・・



今だから笑える話。


彼の家に行った日のこと。

この頃は会う度、大なり小なり険悪な空気になっていて、

この日もまた例外じゃなかった。


帰り際に険悪になった二人は、

「・・・もう、帰る」

「一人で帰りや、」

「いい、電車乗って帰る」

そんな会話。


いつも車で送ってもらうのだけれど、

時計を見ると、彼の地元からわたしの地元の最寄駅まで

なんとか乗り継ぎ出来そうな時間帯だった。


そう言って、荷物をまとめたわたしは彼の家を出た。


頭に血の上った、大人気ないオトナの二人の行動。



住宅街の道を一人歩いていると、

この後の展開が予想出来て、なんとも気分が悪くなった。

見つからないようにまわり道をしてやろうかと思ったけれど、

駅に続く道で、わたしが覚えているのはそう多くなかった。


そう時間の経たないうちに、

背後から車の走行音が聞こえてきた。

わたしを通り越して前方で停まったのは、やっぱり彼の車で

自分の予想が的中したことに、更に腹が立った。


彼の車の対向車線にいた車が、

ウインカーをちかちかさせて、道路脇の駐車場に入る。



追いかけてくるなら、最初から追い出すな。


車から降り立って、わたしの進行方向に立ちふさがる彼。

謝る彼を無視して、脇を通り過ぎようとすると

「テツカ、待って」

わたしの腕を掴んで引き戻そうとする。

掴まれた左腕をぶんぶん振って、逃れようとしていると。


視界の隅に、ついさっき駐車場に入った車が見えた。

自分の駐車スペースに入れるわけでもなく、

かと言って降りてくるわけでもなく、

ただ、駐車場の入口近くに停車したまま。



夜遅い時間。

一人帰りを急ぐ若い女性。(わたし)

大型の車で乗り付ける若い男。(彼)

何やら女性に絡む男。

女性の腕を掴み、車に押し込めようとする男。

それを嫌がる女性。


これではまるで・・・



犯罪の匂いがするじゃないか。(;゚;∀;゚;)



痴漢?拉致?


この車に乗った人は、それを疑っているに違いない。



それに気付いたわたしは、渋々抵抗をやめて

彼の車に乗るしかなかった。

結局は彼の思い通りになった事が悔しい。



後日、この話を彼にしてみると

「あれは絶対疑ってたなー」と彼も気付いていた模様。

「もっと大仰に抵抗してやればよかった」と悔しげに言ってみる。


喧嘩していようが、

周囲の様子は二人ともしっかり見ているらしかった。

何その余裕は。笑



確かに、何も知らない第三者から見ればアヤシイ空気だったな・・・